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前回の記事では、「内部事故」に焦点を当てました。今回の記事は、起こそうとして起こす「内部不正」について焦点を当てます。
内部(あるいは以前内部にいたスタッフ)による不正は、後を絶ちません。
事故と同様、組織づくり・環境づくりの立場から防げるものは防いでいきましょう!
前回の記事は、「不注意で起きてしまうもの」、今回は「意図して起こそうとするもの」に焦点を当ててご説明いたします。
不正はなぜ起こるのか
内部事故や内部不正は、
「悪い人がいるから起きる」わけではありません。
多くの事例を整理すると、ある共通した条件が重なったときに起きています。
それを説明する考え方が、不正のトライアングルです。
不正や重大な事故は、次の3つが同時にそろったときに起きやすいとされています。
- 動機(プレッシャー)
追い込まれている、焦っている、余裕がない状態 - 機会
やろうと思えばできてしまう環境や仕組み - 正当化
「仕方ない」「今回は特別」「誰も困らない」という自分への言い訳
このうち、
私たちが 組織として、ITの力で最もコントロールしやすいもの が 「機会」 です。
権限の持たせ方、チェックの仕組み、ログの残り方によって、「やろうと思えばできる」状態は、減らすことができます。
また、内部不正には次のような特徴があります。
- 外からは見えにくい
- 気づいたときには、すでに長期間続いている
- 発覚が遅れ、被害が大きくなりやすい
だからこそ、起きてから考えるのではなく、起きる前提で備えることが重要です。
不正を起こせないようにするために
①「やろうと思えばできる」状態を作らない
内部不正を防ぐうえで最も重要なのは、
不正を起こそうと思ったときに、実行できてしまう状態を作らないことです。
次の点を改善しましょう。
- 1人に情報や判断を集中させない
- 重要な情報や業務を、特定の人だけが扱える状態にしない
- 1人で完結できる業務や操作を作らない
- 長く同じ人に、同じ権限や役割を持たせ続けない
- 「誰が」「どこまでできるのか」を組織として把握する
ITの面では、以下の設定で守ることが可能です。
- アクセス権限を役割ごとに分ける(触らなくていい情報には触らせない)
- 不要になった権限をそのまま残さない(退職者、異動者のアカウントはすぐに削除・手直し)
- 個人のPCや私物環境に重要な情報を置かせない
人の善意に頼るのではなく、仕組みで守ることが大切です。
②やると分かる、という空気を持たせる
不正を防ぐ力として強いのは、「あとから分かる」「振り返れる」状態を当たり前にしておくことです。
- 誰が、いつ、何をしたかが後から分かる状態にする
- 重要な操作や例外的な処理を記録に残す
- ログを「取るだけ」で終わらせず、定期的に確認する
- 普段と違う操作があれば、自然に目に留まる状態にする
- おかしなことがあれば、確認される前提を作る
これは、人を疑うための監視ではありません。
不正や事故を未然に止めるための透明性です。
ITを使って、
- 操作履歴が残る
- 後から確認できる
という状態を作っておき、可能な範囲で「どのような対策をしているのか」を公開するのもよいかもしれません。
これらの対策は、内部不正だけでなく、「外部からのアカウント乗っ取り」のような外部攻撃に対しても効果的です。
目的をはっきりさせておけば、
「不正者を見つけるためではない」
「組織と個人の両方を守るためである」
という説明も、現場に受け入れられやすくなります。
③職場の空気を良い状態で維持すること
内部不正は、職の空気と密接な関係があります。
- 不満や違和感を抱えたまま、誰にも言えない
- 相談先はあるが、実際には使われていない
- 成果や数字だけが評価され、過程が見られていない
- 評価や扱いに公正さを感じられない
こうした状態が続くと、組織の中に歪みが生まれ、ルールそのものが軽く扱われやすくなります。
不正対策は、制度や仕組みだけで完結するものではない、ということを心にとめておきましょう。
④注意:間違った対策
内部不正を防ぐために、次のような対策が取られることがあります。
- 「疑わしきは罰する」という姿勢
- 過度な監視
- 信頼関係を前提にした運用
これらは、一時的には効果があるように見えても、長期的には逆効果になることがあります。
不正は、締め付けが強いから起きるのではなく、歪みが溜まって起きるものだからです。
内部不正を「起こさせない組織」とは、厳しい組織ではなく、不正が入り込む余地を作らない組織です。
さいごに
事故や不正が起きたとき、見直してみれば「事故・不正が起こるべくして起きる環境だった」なんてことはままあります。
環境を変えることができるのは、役職者だけ。
現場の善意や注意力を過信せず、「誰がやっても事故・不正は起きない環境」を目指しましょう。
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